マヌカンピス

1988年創業のマヌカンピス は、チョコレートをこよなく愛する一人の菓子職人の遊び心と研究心から生まれたお店です。
「２０才頃は大阪のチョコレート会社のチョコレート研究所で働いていたのですよ」。当時まだ珍しく高価なものだったチョコレート。マヌカンピス 創業者で現顧問を務める松尾英明氏は福岡の老舗製菓店の三男として生まれ、小さい頃からお菓子は身近な存在でした。その中で一番好きだったのがチョコレート。
2017年にひいらぎホールディングスへマヌカンピスの経営をバトンタッチされた、松尾顧問にチョコレートとお菓子作りにこめてきた想いを伺いました。マヌカンピスの西田常務とともに向かった先は、1988年創業マヌカンピス一号店の高宮店。

チョコレートと一口にいっても、ミルクチョコレート、ビターチョコレート、ブラックチョコレート・・・種類も様々で、たとえ種類は同じでもメーカーごとに味も変わるのがチョコレート。松尾顧問はチョコレートが変わるとお菓子の仕上がりが全然違うものになることに驚き、チョコレートの面白さにのめりこみ、福岡を飛び出し、大阪へ。そしてヨーロッパにチョコレート修行に出ることに。
「最初にドイツのマイスタースクールへ入り、そこで知り合った方に紹介されたのがベルギーのビタメールというチョコレートのお店でした」。そうして２０代はチョコレート漬けの日々を送り、20代も終わりに差し掛かる頃、福岡にUターンしてマヌカンピスを出店。
ちなみにマヌカンピスとはブリュッセルにある市民憩いの広場にある噴水の銅像の名前に由来。そんな身近に感じてもらえる洋菓子店を目指してお店の名前にしました。

「ドイツは素材が美味しくてお菓子が美味しかった、フランスはデコレーションが洗練されていて、ベルギーはその中間にあり両方のよいところを併せ持っているところ」とベルギーの魅力を語る松尾顧問。フランス文化の息付くベルギーでドイツのように素材の良さを生かしたスイーツを学んだ意義は大きかったそうです。
ベルギーはヨーロッパの中でもチョコレートの歴史が長くメーカーも数多くあり、その中でもカレボー社のチョコレートは「香料ではないカカオ本来の香りがあって、ミルクチョコレートもミルク感がしっかり感じられるのに、カカオの味がしっかりある。バニラビーンズを入れなくてもいいくらいに」と松尾顧問も惚れ込み、現在も多くのスイーツのもとになっています。

輝くゴールドの包みをあけると、袋いっぱいに入ったレンガ型のチョコレートケーキが現れます。マヌカンピス のスイーツは名門ベルギーチョコレートの高級感漂う中にあって、どこか親近感を抱くものもあります、その一つが「ブリュッセル」。
「ブリュッセル」は当時繊細かつ高価なものであったチョコレートを「もっと食べやすく大衆的にしたい」という松尾顧問の想いから生まれたスイーツ。誕生から20年以上愛され続けている、お店の看板商品。原材料には「混じり気のない、フレッシュな純生クリームと国産小麦粉」を使うなどチョコレートの風味を生かしつつ、焼き菓子ならではの食べ応えも大事にしています。

バターは純正のバターのみ使用し、（EUで禁止されているトランス脂肪酸を含むマーガリンなどは使わない）、小麦粉も全て国産。素材の良さを前提としたマヌカンピス のスイーツは、原材料選びに妥協はありません。
いわゆる食品添加物をここで作るときに入れることはほぼなく、まれに入っているとしてもそれは原材料由来のもので、それも色素とバニラビーンズなどの香料くらい。そもそもチョコレートも香料が入っていないカカオ由来のものが美味しいと思うと断言。余計なものはいらない、良い素材でシンプルに作るお菓子がマヌカンピスです。
話の途中、同席していた西田常務が取り出した小さなチョコレート。「新商品開発をしていて、チョコレートの新しいお菓子ができないか模索中です」。松尾顧問はパクパク食べ、チョコレート談義に花が咲きました

マヌカンピス で一番好きなスイーツを尋ねると、松尾顧問が推薦したのは「ガトーショコラ」。「ガトーショコラ」はお店のスイーツの中でカカオの含有量が一番多く、しっかりずっしりチョコレートが詰まっています。ちなみにそれを生クリームとスポンジで食べやすくしたのが「ブリュッセル」。チョコレートの美味しさをダイレクトに味わえるガトーショコラはチョコレートにこだわった松尾顧問も納得の一品。
また西田常務がお勧めするのは「絹ごろも」。ドイツのチーズケーキはチーズの味を強く感じられるが食感はやや硬めで、一方フロマージュはとろける食感がチーズより際立つ。その２つの中間でしっとり、かつチーズの味もしてふわっとしていて・・・「看板商品です。すごく食べやすい、美味しいです」。スイーツは人を笑顔にします。