アニマルウェルフェアにも配慮した緑豊かな農場
みやざき地頭鶏(じとっこ)を育てている日南市の押岡さん。押岡さんの想いを込めた農場は、静かな山の麓にあります。農場では、ひよこから成鶏までそれぞれの成長段階ごとに部屋を分け、アニマルウェルフェアにも配慮しながら地頭鶏たちが心地良い環境づくりに取り組んでいます。アニマルウェルフェアとは家畜のストレスや疾病を減らすため、家畜を快適な環境下で飼育することです。
農場に入ると一つ目はひよこを受け入れる建物。ひよこの時は環境の変化で体調を崩しやすいのが難しいところ。押岡さんは、餌はもちろん、暑さ、寒さ、風、水など適切な住環境を数値化し、携帯のアプリでも常時確認しながら常に最適な環境を作り出しています。
押岡さんの農場に着いて驚いたのが、「本当に鶏をここで育てているの?」と思うほど静かで、匂いもないこと。飼育棟の床にはおがくずを敷きつめ、木の香りが漂うとてもクリーンな印象です。鶏たちは、地べたに座り込んだりお水を飲んだり各々リラックスしている様子。
鶏たちが気持ちいいのはもちろん、"鶏は汚れた環境にいるとその匂いまで血液に入りお肉に香りが移る"ため、それを防ぐための工夫でもあります。
地頭鶏ならではのうまみをしっかり感じられるように
押岡さんの農場はまるで体育館!その高い天井と広い空間に驚きました。地頭鶏は屋外で放し飼いをすると直射日光を浴び、鶏肉の肉質が硬くなってしまうそうです。そこで紫外線に当たらないように、でも広々と放し飼いできるように環境を整えて、肉質が硬くならないようにしています。
地頭鶏(じとっこ)は、宮崎と鹿児島の旧島津藩で昔から飼育されていた、日本に元々いた在来種の鶏です。その美味しさから農民が地頭職に献上しているうちに「地頭鶏」と呼ばれるようになったと言われています。
「地頭鶏は歯応えあって食べにくいという方も多い。子どもから年配の方までみんなに食べてもらいたいし、何より地頭鶏ならではのうまみをしっかり感じて、その美味しさを知ってもらいたい」と押岡さん。地頭鶏を残さず食べていただくために、加工にも力を入れています。