梶並農園

夷守岳(ひなもりだけ)の麓を彩る、カラフルな野菜畑

梶並さんの軽トラックの荷台は、いつもカラフルな野菜で溢れています。黄色や紫のニンジン、ピンクや緑の大根、紫の白菜など初めて見る野菜ばかり。 野菜の行き先は東京や名古屋、福岡のレストランなど日本全国へ。料理人から料理人へ口コミで評判が伝わり、その野菜を求めて往復3時間以上かけて通うシェフも珍しくありません。
小林市内を見下ろす高台の農園は開拓地で、見晴らしも良く、数キロ先には花で有名な生駒高原があります。現在、年間を通して50種類以上の野菜を育てています。
生で食べられるスイーツのような夏のトウモロコシ、みずみずしくてしっとり甘い秋のカブ、切って干すだけでおやつになる冬のニンジン、梨のように甘い大根。どれも味にインパクトがあります。
「ん?!おいしい!!」初めて梶並さんの野菜を食べた人は一様に驚き、生でパクパク食べます。それをみる梶並さんはとっても嬉しそうです。


「明日の自分に恥ずかしくない今日でありたい。」

梶並さんは岡山出身。大手パンメーカーで管理職をしていたとき、大阪で阪神大震災を経験。それをきっかけに奥様の出身地に一家で引越し就農することを決意。 初めは一般的な野菜を育てていましたが、もっとたくさんの人に食べてもらいたいと珍しい野菜も栽培するようになり、5年以上かけてようやく納得のいく野菜作りに辿り着きました。
梶並さんが大事にしているのは、植物自身の力を最大限に引き出すこと。肥料や土づくりはもちろん、種をまく日、種をまく畑、一つ一つを植物目線で決めていきます。 来週の野菜の収穫予定を尋ねると、決まって「分かりません、野菜に聞いてください」と言われます。旬の野菜しか植えないというのも植物自身の力を発揮させる上でとっても大事なこと。
基本的に水も散布しません。「苗半作。芽がでるまでがまず大事。野菜は自分の力で根っこを出して、葉っぱを伸ばして育たないとダメ。それができない野菜は育たない。大きくなってもおいしくない」。 梶並さんの野菜は、降雨や日光や風など降り注ぐ自然の恵みを存分に受け止めて、時には虫にかじられながら、時にはのんびりすくすくと育っていきます。